1000円カット

　近所（東京都江東区清澄）に床屋がある。スーパーカット（地図 map:x139.79858y35.68267） という1000円でカットするお店である。大抵の週末は混んでいるのだが、今日は誰もいなかった。この店、私は気に入っている。仕事は丁寧だし、カットする人も親切。年齢も若い。多分、20代でしょう。スタップは女性のときもあるし男性のときもある。腕はまぁまぁだと思うが、そもそも私は清潔であればいいので、カットのディテールにこだわらない。女性スタッフ、男性スタッフ両者に切ってもらったことがあるが、男性の方が上手であった。たまたまかもしれないが。まぁ、私は「修業中」の人でも十分なのだが。この店に、もう、3年〜4年くらい通っている。

　以前は普通の床屋だった。一回４千円くらいした。ひどいところでは、5000円も取られた。出かける前にシャワーを浴びてヒゲを剃ってしまったから、床屋のおじさんに「なんでヒゲそちゃったの？」と言われた。悔しさとばかばかしさに涙がでた。だから、床屋は2ヶ月に一度。ずっと、そうしていた。それでも、高い。大前研一という人が30年くらい前に書いた著書に「風呂に一回入っただけで流れてしまう整髪料をつけるだの、ひげそりだのは自分でやれる。カットだれあればいいはず。値段も600円しないはずだ」というような起業のアイディアが載っていた。確かこの本。

実現するまでずいぶんと時間がかったものだ。組合的に問題があるのだろう。大体、月曜日や火曜日に全国一斉に休みになるのがすでに異常ですよ。

　1000円の床屋はよい。若い人、とくに機械や回路が好きな男子学生ならばみなそう思っている、と私は思っていた。しかし、違った。研究室の学生さんたちに1000円理容室の話をしたとき、「絶対に行きませんよ」という応答だった。4人に聞いて、一人も1000円カットに行く人がいなかった。その理由は、「下手」だとか「サービスが悪い」とか、「やっぱり顔を剃ってもらってゆっくりしたい」とか。ホントかよと思うのだが、そういう若い人も結構いるらしい。ネットで1000円カットの評判を探すと、あまりよくないのである。いろいろ理由があるのだが、要するに「不愉快」になるから。つまり、ダメダメサービスの店が結構あって、それに懲りてしまった人が多いのだ。なんと。

　私が通い始めた頃には1000円カットも結構後発の時期で、むちゃな店が絶滅したあとだったようだ。なんてことはない、私の1000円カットとの出会いは運が良かったのだ。