ちょっといい感じの人々

vietatofumare2006-11-23


 先日、帰宅途中の東急線でこんなシーンに遭遇した。夜9:00頃の人がまばらな田園都市線車内で、男がスタバかタリーズかのコーヒーをふた付きの紙コップを手にしたままウツラウツラしていた。寒い時期ほど車内は心地よく感じることもあり、まぁ、寝てしまうのはよくあること。ちょっと気になるのは、その紙コップの中にコーヒーは入っているのかどうか。だが、まぁ、だが車内は空いているし、私は向かいの席に座っているし、iPodでボサノバを聴きながら本を読んでいたのでそれ以上気にとめなかった。と、当然だが、男は紙コップを落とした。
 ドバっと液体が床に広がる。男の両サイドには人がいなかったので誰も直接汚されることはなかったが、カプチーノであろう暖かそうな液体が床に広がっていく。男は、慌てずちり紙をだして、カプチーノの吸い上げようとしているが、まぁ、たらんだろう。私は、本を読みながら盗み見ていた。とくに、大騒ぎする必要もなし、危険物でもないし、まぁ、床がちょっとべたべたするだけだしと思っていた。そうしたら、近くに座っていたお兄さん、おばさんがちり紙を次々投げてきた。「これ、使ってください」「あ、ありがとうございます」という助け合いである。みんな、気になるので男の様子を見ている。車内は相変わらず良い香りのカプチーノ。急行なので、しばらく止まらない車内である。
 オレも手伝ってやるべきかなぁ、などと見ていたら若い女性が一緒に拭き出した。その男の連れの人ではなく、単なる乗り合わせの人のようであった。「あぁ、スミマセンいいですよ」と男が言っても、「えぇ、いいのですよ」と言ってカプチーノをちり紙で拭いている。大体、床がキレイになったあたりで、サラリーマン風の男が「これ、使いなよ」とコンビニのレジ袋を女性に渡した。最初から見ていないと、カップルが床にこぼれたカプチーノを拭いているシーンであるから、そのサラリーマンはそう思ったのだろう。「ありがとうございます」と頭を下げる女性。
 急行が停車駅に止まる。すると、女性はレジ袋をもって下車しようとする。男は「どうも、ありがとうございました。袋は私が片づけますよ」。女性は「えぇ、いいんですよ。いや、車内で言い匂いがするなぁと思って」とクスッと笑っておりていった。男はまた眠くなったのか、もといた席に座り居眠りを始めた。




 どうも、私はこの様子をiPodも外さす、本も読みやめず、ちり紙も渡さず傍観していた。なんと、情けないことである。なるほど、これが社会の活動に参加してないということなのだろうと思った。要するに、「歴史に参加していない」と思う理由はこういうお寒い行動僻にあるらしい。
 他人に干渉するのは面倒だし、大体において車内では「不愉快な」出来事しか普通起きないので、無関心を装うことにしている自分に気付く。ちょっともったいないことをしなたぁ。