BBCのトップギア

vietatofumare2007-02-15


 お気に入りのTV番組はBBC2の「トップギア」である。日本でもCSのBBCで放送していたので番組名は知っていた。自動車の紹介番組。興味があるのだが、自動車を所有していないし、購入できそうな車はでてこないのでもう一つ好きになれなった。そんな感じの番組だとおもって見てみたのだが、番組のコンセプトが変わったのか昔からそうだったのかは知らないが、面白い。お笑いも加味している。車をダシにした「どうでしょう(北海道のローカル番組)」のような気分が味わえるのだ。日曜日の夜が楽しみになっている。

 自動車の紹介番組は大体型がある。話題の新車に乗ってみてその感想を述べ、メーカや輸入代理店の営業さんを相手にあーだこーだ言い合う「新車情報」や車には深い知識?をもっており、ハイセンスを売りにしている「カーグラフィックTV」のような番組である。自動車を趣味にしている人や高校生、大学生がよだれを垂らしてみるような番組、どうも私にはピンとこない。昔からそうだったから、今でもそう。見るのはイヤではない。深夜番組だったらぼけーと見るのに抵抗はない。静かな気分になれるし「ふーん」と感心できるし。でも、それだけでは受け身でしかない。積極的に番組を合わせるはずはない。

 「トップギア」はちがう。もちろん車の紹介番組だから自動車についてあーだこーだ言うことは言う。ただし、高いところから「評価してやる」という姿勢がない。床屋談義な感じを決して隠さないし、それを煽っている。番組は3人の男がすすめる。3人ともオッサンではるが、それそれキャラがちがう。おせっかいな感じでいつもしゃべっているオッサン、昔カッコよかったのだろうなぁという静かな車好きのおじさん、ちょっとひょうきんな感じの子供っぽい兄ちゃんで、非常にキャラが立っている。そして、それぞれが「車が大好き」というところで一致している。

 先々週は3人それぞれが好きな車を乗り回しながら「どれが一番言い車か?」を決めるというテーマだった。オッサンはアウディのTT。前はアルミを使って後ろはスチールなのは重量配分を考慮しているからだとかなんとか蘊蓄をしゃべりまくる。おじさんはアルファロメオ。イタリア車のいいところをいろいろ褒めている。ニーちゃんはMAZDAのRX8。ドリフト走行とかしてげらげら笑いながら運転している。その3台をサーキットで走行させてどれが一番早いかをテストドライバに運転してもらって競ったり、スコットランドの美術館に持ち込んでどれが一番綺麗なのかを3人が美術館の学芸員相手にプレゼンして決めたらりする。3人のキャラが引き立つようにいろいろないたずらを入れながら。もう、3人とも楽しそうで「おれも仲間に入れてくれー」と言いたくなる。

 先週は、アメリカのフロリダに行って1000ドル(13万くらい)で車を購入し、ニューオリンズまで走るという企画。これがまた面白い。13万だからろくな車は買えない。現地ですったもんだしながら3人ともなんとか車を用意した。オッサンはカマロ、おじさんはキャデラック、兄ちゃんはピックアップ・トラック。全部アメリカ色前回(笑)。撮影は夏に行われた。暑いし、湿気がすごい。カマロはエアコンが壊れているので暑くてしょうがないらしい。そこで、街道沿いの自動車用品屋でいろいろ買って写真にのせてある「クーリングダウン&リフレッシュ」装置なるものを装着した。そして実際走っているときに実演していたが、まぁ、水が止まらないらしく運転がかなり危なっかしかった。まぁ、こういういたずらみたいなことをしながら走るのである。

 なぜ面白いのだろうか? いろいろ思いつくけど違いは2つでしょう。まず3人のキャラが全く違っているのだけど車が好きだなぁというところで一致している面白さ。お互いじゃれあっている感がある。彼らは楽しんでいる。それが見ている人に伝わってしまう。もう一つは、知識を押し付けてこないところ。日本の番組のイヤなところは、知識過多の人間がでてくると大抵イヤな気分になってしまうところ。パソコン小僧と同じで、知っている人が知らない人を(こころのそこでは)バカにするという性質があるから、それが人に伝わってしまってイヤになる。そういう人は車が好きではなく単に「おれってスゴい」ということを知らしめることが目的でTVにでているような感があるし、実際そうなんだろう。

 楽しむって、本当に「余裕」がある。自分と相手と「どっちが上だ?」ってことばかりに気になるひとは絶対に余裕がないから、こういう遊びもできないし、一緒にいて楽しいヤツにはなれない。余裕。そういうことなんでしょう。