テート・モダンをリスペクト

vietatofumare2007-02-18


 セントポール寺院とテートモダン美術館の間にミレニアムブリッジという橋がテムズに架かっています。自動車一車線くらいの幅しかない人専用の橋で、人が集まる建物の間を繋いでいますからにぎわっています。自動車の往来が激しいロンドンの中心にあって橋の両側の風景をゆっくりみれるポイントですから自然に人が集まってきます。

 ミレニアムブリッジからの風景はちょっと変わっています。セントポール寺院のような古い建築、テート・モダンのような古い工場を現代建築にアレンジしてある建物、シティーにあるタケノコようのな現代建築のビル、そしてロンドンのタワーブリッジ。新しいものも古いものも360度の風景に埋まっています。それも遠くにかすんで見えるというのではなく間近にある。ローマにもフィレンツェにもありませんでした。建築が好きなならばロンドンは面白いですよ。

 町全体をプランする権力者がいわるわけでもなのでしょうけど、大きなランドマークなる建物の責任者はちゃんと前の人が作ったものと自分が作ろうとしているものの距離をきちんと把握しています。歴史的な連続性と現代技術と自己主張とを上手にミックスしている。古いものがあるなかで目立つ建築をつくる建築家が置かれた環境がそういう方法を編み出させたのでしょう。東京のように関東大震災東京大空襲で歴史がなくなってしまった場所にビルをたてることを主題しとしてきた人に「東京のビルはつまんなし、全体を見てないから結果的に醜いなぁ」と文句をいっても始まらない。逆に言うと、東京でロンドンのような作り方をしようにもコアとなる建物はないし、散財する歴史的建築物もないですからできないですね。

 この雰囲気は取り込みたい。全体は無理でも人が渡る橋と川があればできそうです。隅田川には桜橋と人専用の橋がありますが場所がもう一つですし、橋の両側には意味のある建物がありません。だから、わざわざ人が集まったりしないので近所の人の朝の散歩とホームレスの広場になってしまいます。わざわざ税金を投入して橋をつくるのならば、もっと楽しいことをして欲しいです。ではどうするか。

 浅草の東武線の鉄橋を改良できないか。噂によると東武線は押上から浅草までの区間を廃止するらしいです。浅草と向島を結ぶ鉄橋が不要になりますね。私ならあれを利用する。ちょうど押上にデジタル放送ようの巨大なアンテナが立ちますから、浅草と押上を結ぶ沿線をちょっと改良して人の橋と遊歩道にしてしまう。その間30分くらいであるけますし、高架ですからそれなりに面白いです。荒川の土手のようなものです。橋の両側に人の集まる場所があれば、人は寄ってきます。浅草雷門と新東京タワー。だれがこのラインを見逃すものですか。そういえば、新東京タワーのグランドデザインは安藤忠雄さんが引き受けたらしいです。あの人ならば現在の環境を見逃すはずはない。もっと面白いものを建ててくれるでしょうけど。テート・モダンとセントポール寺院に架かるミレニアムブリッジを見ていてそんな気分がしました。うまくやっているところはリスペクトして自分に取り込んでしまいたいもの。