TV番組の多様性

vietatofumare2007-02-26


 ギルフォードで見ることができる番組は5チャンネル。BBCが2局、ITV、Channel4、Skyチャンネル。もっとも、これは滞在しているホテルのTVの話だから、場所によっては違うかもしれないし、衛星放送を受信すればチャンネル数は激増する。なんどか話をしているが、BBCNHKとは違う。CMがないこととくらいの違いにしか見えない。NHKのように「非難させることをしない無難な大本営発表」という感じがなく、言いたいことをずばずば言うし、放送に対する非難されていることもきちんと取り上げ改善しているようである。あくまでもそう見えるというだけで内実はわからないが、NHKがこれくらいちゃんとした放送をするのならば受信料も喜んで払おうという気になる。

 放送局が少ないからといって番組の内容が偏っているということはないようだ。ニュース、ドキュメンタリー、ドラマ、クイズ、スポーツ、自然、子供向け、お笑いなどどの分野の放送もそれなりにある。2ヶ月もいるとキャスターの顔も覚えられてくるし、ドラマの続きが気になったりするようになる。お気に入りのクイズ番組ができたり、来週の放送を待ち遠しくおもう番組もできたりする。どの放送局にも顔をだす売れっこタレントのような人の存在にも気付くようになる。このあたりは日本と同じである。

 では、日本と何が違うのか。一番目に付くのは「スポーツ番組」の多様性ではないか。日本では、野球、ゴルフ、サッカー、競馬(スポーツか?)くらいしか番組がないが、こちらでは「いろんなもの」が放送されている。サッカーは当然だが、メジャーなところでもラグビーが人気のようだ。クリケットも結構ある。へぇと思ったのは、バドミントン、カーリング、ボーリング(といってもカーリングのような室内ゲームで始めてみたが以外に面白い)、スヌーズ(ビリヤード)、ダーツ。名前がでてこないが、「へぇ、そんなスポーツもあるんだ」というようなものが普通の番組だったりする。知らない競技の場合はルールを想像しながら見るよりないが、それが以外に頭をつかって面白い。あるいは、あるときに人に教えられて「あー、だからダーツは真ん中を狙う人は少なく、12時方向の一番外側の枠を狙うのか」とか「ビリヤードの赤い玉はそういう意味があるのか」と知って次に番組をみるとえらく面白いかったりする。

 スポーツばかりではなく、へんなタイプの人気番組もある。有名だが「お宝鑑定団」はこちらの番組をパクったものである。アンティーク鑑定もやっている。「マネーの虎」と同じ番組もあった。「ドラゴン・デン」というのだが結構ハラハラしてしまう。私が一番気に入っているのは「考古学」番組で、発掘をするというものである。単に地味な発掘をするのではない。少なくとも「勉強してくだい」という番組では決してない。オッサンたちが面白楽しく(といっても、学者たちなんだが)地図だの地中電場計?やCADだのなんだの技術的にも学術的にも「十分先端的」な準備をして、何日間の作業(大抵3日くらい)という制約の中で発掘するのである。一日が終わるとパブで飲みながら発掘品談義や歴史談義をしたりして、実に「楽しそう」なのである。先日はローマ軍の砦の発掘をしていた。コインがでると赤い鼻したオッサンが涙を流さんばかりの喜びで、パブでそれを見せびらかしているのがほほ笑ましい。研究者の原点て、こういうメンタリティーにあるはずなんだよなぁと思ったりする。

 それにしても、そもそも人口が少ないはずなのにこんなに多種類の番組を製作、放送できるのはなぜなのだろうか。そのことは、そもそも「同じものに群がる」という日本人的(といわれている)性質を持っていないだけだからだろう。話題作りにTVを見ることや何か一つがバカ売れする(というか、みんな考えないで行動する)ところが英国人には少ないのだろうし、それを反映しているだけなのだろう。個人が確立しているので、趣味も多様ということか。とはいえ、サッカーは別なのかもしれないけど。悪く言えば人の行動を気にしない、つまるところ勝手が一番ということにもなるのかもしれないが。

 言い忘れたが、だからといって英国のTV番組が面白かといえば「?」になる。とくに「お笑い」が完全に弱い。ブラックな笑いが多いみたいだから笑えない。いや、正確には「なんでそれが面白いのだろうか?」と考え込んでしまうことも多いから、お笑いは地方差が大きいのだろう。